「ちゃんと伝えたつもりだったのに、誤解されてしまった」
「言いたいことがうまく言えずにモヤモヤしたまま終わってしまった」
そんな経験はありませんか?
人間関係において“伝え方”は、思っている以上に重要なスキルです。
この記事では、心理学的なコミュニケーション尺度「ENDCOREs」をもとに、自分の想いや気持ちをきちんと届けるための表現力の高め方についてご紹介します。
あなたの“伝わらない”が“ちゃんと伝わる”に変わるヒントを見つけてください。
第1章:ENDCOREsとは?|あなたのコミュニケーション力を6つの視点で可視化する心理学的ツール
ENDCOREs(エンドコアーズ)は、藤本・大坊(2007)によって開発された心理学的な尺度で、コミュニケーションスキルを以下の6つに分類して測定します。
基本スキル
1. 自己統制
2. 表現力
3. 解読力
対人スキル
4. 自己主張
5. 他者受容
6. 関係調整
この尺度は、24項目の質問を通して、自己のコミュニケーション傾向を客観的に把握できるツールです。
今回はこの中から「表現力」に注目し、言葉・しぐさ・表情・感情をどう使って自分を伝えるか、そのポイントを解説します。
私の体験談:コミュニケーションの“クセ”に気づいたきっかけはENDCOREsでした
社会人になってから、なぜか会話がギクシャクする相手が増えた時期がありました。
「どうしてうまく伝わらないんだろう?」と悩んでいました。
ENDCOREsを通して、話す内容そのものよりも、「話し方」「表情」「感情の出し方」に苦手意識があると客観的にわかったことで、「うまく伝えられないのは性格じゃなくて、スキル不足なんだ」と腑に落ちたのを覚えています。
第2章:表現力とは何か|言葉・しぐさ・表情で気持ちを伝える“対人スキル”の核
表現力とは、自分の内面(考え・感情・気持ち)を他者に分かるように伝える力です。
これは「うまく話すこと」だけではなく、以下のような多面的な力を指します。
言語的表現:わかりやすく話す力
身体的表現:ジェスチャーや姿勢で伝える力
表情的表現:顔つきで気持ちを伝える力
情緒的伝達:自分の感情を相手に察してもらう力
つまり、表現力は“コミュニケーションの伝達手段”そのもの。
伝え方を少し工夫するだけで、誤解やすれ違いを防ぎ、相手との関係がぐっと良くなるのです。
私の体験談:伝えたつもりが誤解されてばかりだった頃
以前の私は、言いたいことがなかなか言えず、伝えたつもりでも相手には全然違う風に受け取られてしまう…ということがよくありました。
友達に「それって、怒ってるの?」と聞かれて驚いたこともあります。私はただ困っていただけなのに、無表情になっていたせいで誤解されたようです。
この経験から、「どう伝えるか」が相手との関係に大きく影響することを痛感しました。
表現力は、“話す力”だけじゃないんだと実感した出来事です。
第3章:表現力を伸ばす4つのヒント|言語・身体・表情・情緒それぞれの鍛え方
ENDCOREsにおける「表現力」は、次の4つの側面から成り立っています。
ここでは、それぞれを高めるための具体的な方法をご紹介します。
- 言語表現:考えを“わかりやすい言葉”にする
ポイント:話が長くなる人ほど「結論→理由→補足」の順に話すと伝わりやすくなります。
トレーニング例:
・日記やメモで「一文で言うと?」と問いかけてみる
・3分以内で説明する練習(タイマーを使ってみる)
- 身体表現:しぐさや姿勢でも伝えている
ポイント:腕を組んだり、うつむいて話したりする癖は“無意識の壁”を作ってしまいます。
トレーニング例:
・話すときに手のひらを相手に見せる(オープンポーズ)
・自分の話し方を動画に撮って確認してみる
- 表情表現:顔つきが伝える“感情のサイン”
ポイント:笑顔やうなずきは、言葉以上に安心感を与える力があります。
トレーニング例:
・鏡の前で「うれしい」「驚き」「悲しい」などの表情練習をする
・相手の話を聞くときに「眉・目・口」の動きを意識する
- 情緒伝達:感情を“察してもらう”力
ポイント:相手があなたの気持ちを汲み取るには、「素直な自己開示」がカギになります。
トレーニング例:
・「今、自分はどんな気持ち?」を言葉にしてメモする
・会話で「〜な気持ちだったんだ」と感情に名前をつけて話す練習をする
私の体験談:3分間トーク練習で変わった“伝え方”の感覚
あるとき、「自分の意見を1〜3分で伝える」というシンプルな練習を毎日続けたことがありました。
最初は全然うまくまとめられず、話があちこち飛んでしまったのですが、1週間ほどすると「まず結論から話そう」と自然に思えるようになっていたんです。
また、鏡の前で笑顔を意識する練習や、感情を日記に書くことも並行して行いました。
少しずつではありますが、職場でも「話しやすい雰囲気になったね」と言われることが増え、自信につながっていきました。
Q&A|よくある質問
Q1. 表現力って、話し上手になることですか?
A. 表現力は単なる「話し方」だけでなく、ジェスチャー・表情・感情の伝え方などを含む総合的なコミュニケーション力です。
「うまく話せる」よりも、「自分の気持ちが丁寧に伝わる」ことが大切です。
Q2. 自分の気持ちを言葉にするのが苦手です。どうしたら練習できますか?
A. 毎日「一文で言うとどうなるか?」を日記やメモで考えることが効果的です。
また、「〜という気持ちだった」と感情に名前をつける練習も、表現力の土台になります。
Q3. 身振り手振りが苦手なのですが、それでも表現力を高められますか?
A. はい、大丈夫です。大げさなジェスチャーではなく、姿勢や手の位置を意識するだけでも伝わり方は大きく変わります。
まずはオープンポーズ(手のひらを見せる)など、シンプルな動作から始めてみましょう。
Q4. 表情が固いと言われます。改善するにはどうしたらいいですか?
A. 鏡の前で「感情の表情練習」をするのがおすすめです。特に、笑顔やうなずきの練習をすると、相手に安心感や共感を与えやすくなります。
日常で「眉・目・口」を少し意識するだけでも変化が出ます。
Q5. ENDCOREsを使って自分の表現力をチェックすることはできますか?
A. ENDCOREsは主に研究やカウンセリング現場で使用されていますが、一部の書籍や大学の講義、心理学系のセミナーなどで体験的に取り入れられていることもあります。
一般向けの簡易テストを探してみるのも良いでしょう。
まとめ:伝わる表現は信頼関係の土台|自分の想いを正しく届ける力を育てよう
表現力は、ただ“話す技術”ではなく、「自分の心を相手に丁寧に届ける力」です。
言葉だけでなく、しぐさや表情、感情の伝え方までを意識することで、あなたの伝えたいことはより明確に、より温かく届くようになります。
そして、“伝わる”ことは信頼関係の第一歩。
「わかってくれてうれしい」「ちゃんと伝えられてよかった」
そんな実感を日々のコミュニケーションで育てていきましょう。
参考文献
藤本, 学, & 大坊, 郁夫. (2007). コミュニケーション・スキルに関する諸因子の階層構造への統合の試み. パーソナリティ研究, 15(3), 347–361.